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「血液型と性格は関係ない」という論文と「関係あるかもしれない」という説

講演の動画を見ていたらアメリカの大学教授が「私はA型だから几帳面な性格なのよ」と冗談を言って聴衆がウケていたので驚きました。

なぜなら血液型と性格を結びつけたり血液型占いを信じているのは日本だけだと思っていたからです。(アジアのいくつかの国でも信じられているようです)

なのでそういう冗談が多くの人に通じるほどには欧米の人たちに浸透していないと思ったのです。

もしかしたら日本でしか信じられていないということを知った上での冗談だったのかもしれませんが……

血液型と性格について外国ではどのような扱いになっているのか調べていたらいくつか論文を発見しました。

ほとんどが「血液型と性格は関係ない」という結論でした。

ちなみに私の個人的な見解は「関係あるかどうか分からない」です。

血液型の違いが性格に影響を与えるかは不明ですが、血液型の違いによる体質の違いが行動に影響するとしたらそれが性格に影響を与えたり、行動そのものが周囲からそういう性格と思われる可能性が少しくらいはあるのかなと。

血液型と性格は関係ないという論文

オープンアクセスの論文データベースで血液型と性格の関係について検索するといくつかの論文が発表されていました。

その中でオーストラリアのグリフィス大学のメアリー・ロジャーズとA・イアン・グレンドンによって書かれた論文の内容について触れたいと思います。

(オーストラリアの人口における血液型の割合は、O型49%、A型38%、B型10%、AB型3%とされています)

この論文の中では血液型と性格の関係について書かれた本や論文の内容から仮にそれらが正しいとした場合に導き出せる仮説を立てています。

いくつか意訳して抜粋すると以下のようなものがあります。

それぞれの血液型が他と比べ高いスコアを記録すると思われる項目

  • B型:神経症的傾向
  • O型:外向性
  • A型:調和性
  • AB型:誠実性

これらの仮説が正しいかどうかを確かめるために各血液型ごとに30人ずつを選びアンケートを実施しています。

その結果、どの仮説も正しいということは証明されませんでした。

(Reference:Mary Rogers, A. Ian Glendon「Blood type and personality」)

この論文以外にもAbstract(要旨)だけのものを含めいくつか読みましたがほとんどが「血液型と性格は関係ない」という結論になっていました。

心理学の研究では「特性5因子モデル(ビッグファイブ)」というものがしばしば用いられます。

この5因子とは外向性、調和性、誠実性、神経症的傾向、経験への開放性の5つです。

血液型と性格の関係についての論文でもこれらの特性についての関連を調べたものがいくつかありますが血液型ごとの大きな違いは発見できませんでした。見落としているのかもしれませんが……

血液型と性格の関連を示すデータを載せた論文もありましたが数は少なかったです。

統計学的に全く問題のないデータを揃えて「関係がある」という結論に至った論文は学術誌に掲載してもらい難いのかもしれません。もし見つかったら詳しく調べてみたいと思います。

血液型診断は11人のサンプルから始まった

血液型と性格の関連について最初に調べたのは東京女子高等師範学校(現在のお茶の水女子大学)の古川竹二教授と言われています。当時は性格ではなく気質と言っていました。

古川教授が自分の親族11人を調査して外向的か内向的かに分類しました。その結果B型とO型は外向的でA型は内向的ということになりました。(※協力者11人の中にAB型の人はいませんでした)

古川竹二教授の血液型と性格の調査

この結果をもとに質問表を作成し追加調査を行い血液型ごとの気質をまとめ論文として発表しました。

なぜ古川教授がこのような研究を行ったのかというといくつかの理由が言われています。

1つはドイツのハイデルベルク大学のエミル・フォン・デユンゲルン教授が「野蛮な動物の血液型はB型が多いからB型の多い東洋人は野蛮だ!」と言い出したためそれに反論するためというものです。

そしてもう1つは入試では勉強の出来だけではなく性格も考慮するべきと考えその測定法を開発するためというものです。

古川教授の名前は今も血液型と性格に関連する外国の論文に何度も出てきていました。

余談ですが古川教授の『血液型と気質』という本は古書ですのでアマゾンで2万円くらいで売っています。

1971年になると古川学説の影響を受けた能見正比古氏が『血液型でわかる相性』という本を出版します。

この本が血液型診断や占いを日本に広めるきっかけとなったようです。

なぜ血液型診断や占いを信じるのか?

今回、外国のサイトをいくつか見ましたが「血液型診断とは日本で信じられている疑似科学である」と書かれているものもありました。

外国の人から見ると日本人がここまで血液型と性格を結びつけているのは奇妙なことなのかもしれません。

血液型診断を信じる人が多い理由としてよく言われるのがバーナム効果です。

誰にでも当てはまるような曖昧なことを自分にだけ当てはまると言われて提示されると信じてしまうという効果です。

実際にその血液型の性格とされる内容を他の血液型と入れ替えて提示しても信じる人は多いようです。

他人の血液型と性格の印象に影響を与えているのは認知心理学でいうところの「確証バイアス」です。

自分の考えを裏付けてくれる情報にばかり注目してしまう傾向のことです。

「A型の人は几帳面な性格」という思い込みがあるとそういう面にばかり注目してしまうため血液型診断が当たっていると思ってしまうということです。

しかしこの説明はあまり納得できる人がいないような気がします。私自身もA型によくある性格を持ったA型の人に会ったときに確証バイアスが起こらないように冷静に判断しても「A型っぽいな」と思うことがあります。

それよりも記憶に残りやすいことに原因があるのではないでしょうか。

A型の人の中にも几帳面な性格の人もいればそうでない人もいます。どちらの人の血液型をよく覚えているかと言ったら几帳面な性格の人です。

そしてA型の性格と言われたときに思い浮かべるのはその人のことなので血液型診断が当たっているという印象が強まるのではないでしょうか。

また自分からその血液型の性格のステレオタイプに合わせていくこともあるかもしれません。

私はO型ですが物事をキチンと進められなかったときに「おおざっぱなO型だから仕方ないでしょ」と言い訳させてもらえたらけっこう助かります。

そんな感じでその血液型っぽい性格になっていくのかもしれません。

血液型と性格は関係あるかもしれない説

私は今回調べるまで血液型と性格の関係は一切ないと思っていました。

しかし色々と調べていくうちに「間接的になら関係あるかもしれない」という考えもほんの少しだけ浮かんできました。

アメリカのバーモント大学のクリスティン・S・アレクサンダー博士とニール・A・ザカイ博士の研究ではAB型はO型と比べて認知障害のリスクが1.82倍、脳卒中のリスクが1.83倍高いそうです。

バーモント大学の血液型と病気リスクの調査

このほかにも血液型と疾病のリスクが関係しているという研究報告は複数あります。

血液型の違いは赤血球の抗原の違いです。それが性格に影響を与えるかは不明ですが病気のなりやすさが性格に影響を与える可能性というのは少しくらいは考えられるのではないでしょうか。

アメリカの医師メイヤー・フリードマンは「タイプA」と言われる怒りっぽくせっかちな性格の人は心不全になるリスクが高いと報告しています。

その他のコホート研究でも特定の性格が病気のなりやすさにつながるという結果があります。

強引な考え方ですが性格が病気のなりやすさに影響を与えるのならその逆もあり得るのではないかと思ったのです。

その場合でも「ある特徴的な性格を持つ人の割合が最も多いのがこの血液型」ということにしかなりませんが。

いくつかの論文を見た限りでは血液型と性格について先入観のない国でも特性5因子モデル(ビッグファイブ)に基づくアンケートでは有意差を見出すことは難しい気がします。

しかし他の気質に関するアンケートであれば違いが出る可能性が少しくらいはあるのではないでしょうか。