付き合ってから一度も喧嘩したことのないカップルもいると思います。
これは本音でぶつかり合っていないということなのでしょうか?
一緒にいて楽しいし、ストレスもないと感じているのはどちらか一方だけで、もう一方は我慢を強いられているのでしょうか?
喧嘩をしないとストレスが溜まるのか?
喧嘩というと怒鳴り合うシーンを思い浮かべるかもしれません。
このような喧嘩はそのときこそ収拾がつなくなりますが、感情を全て出し切ることでストレスが解消できるようにも見えます。
逆に激しい喧嘩がないカップルは内に溜め込んでしまうので、いつか何の前触れもなく別れにつながってしまうように見えます。
しかし、喧嘩をしないとストレスが溜まるかどうかは人によります。
相手に感情をぶつけなくても、自分の思っていることを言える関係であれば別れやすいということはありません。
カップルにとって良い喧嘩と悪い喧嘩
カップルにとって良い喧嘩と悪い喧嘩があります。
さきほど説明した激しい言い合いはどちらかといえば悪い喧嘩になりやすいです。
醜い姿を晒すだけではなく、人格否定や修正の難しい信念に言及しがちだからです。
このような変わる余地のないことで争うことが多いと別れやすいといえます。
反対に、連絡頻度やデートの内容のように変更可能なものについて冷静に話し合うのは良い喧嘩です。喧嘩というより建設的な話し合いです。
テネシー大学のエイミー・ラウアー教授らが中年期から高齢期の夫婦を対象に行った調査でも、建設的な話し合いをする時間が多い夫婦は幸福度が高いことが分かっています。
意見をきちんと言える機会があれば、カップル間にストレスが溜まりにくいので別れやすいということもないのです。
喧嘩で絆が強まるかは性格が関係している
喧嘩をしてもそれをうまく解決できればカップルの絆は強くなるでしょう。
これには問題解決のスキル以上に、それぞれの性格が関係しているといえます。
ニューヨーク州立大学のテニール・タガートたちが、カップル間の衝突と関係満足度について調べた研究があります。
それによると、衝突を解決することで満足度が高くなるかは、性格の影響が大きいことが分かっています。
神経症っぽい性格の人は、カップル間の対立を乗り越えたからといって、満足度が高まるわけではありませんでした。
この原因として、神経症傾向が高いと議論中に興奮しやすく、パートナーの意見に否定的なアプローチをしやすくなってしまう可能性が考えられます。
意外なことに誠実な人も衝突を乗り越えることで満足度が高まるわけではありませんでした。問題にきちんと向き合い過ぎることなどが原因かもしれません。
最適な問題解決の方法はカップルによって異なります。まずはパートナーの性格を見極めましょう。
参考文献
・AMY RAUER, ALLEN K. SABEY, et al. (2019).What are the Marital Problems of Happy Couples? A Multimethod, Two-Sample Investigation.
・Tenille C. Taggart, Sarah M. Bannon, et al. (2019). Personality traits moderate the association between conflict resolution and subsequent relationship satisfaction in dating couples.