付き合っているかどうかに関係なく、好きな人といると眠くなることがあります。
退屈だから眠くなっているの?
ということはそれほど相手のこと好きじゃないの?
と思うかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
好きな人といるとなぜ眠くなるのか明確な理由は分かっていませんが、催眠と安心感が関係している可能性があります。
催眠状態で脳波がゆっくりになるから眠くなる
テレビで催眠術師が糸にぶら下げた5円玉を揺らしているのを見たことはないでしょうか?
それを眺めていた被験者はだんだんと意識が遠のいたようになります。
これは何をしているかというと、脳波をゆっくりにしているのです。(すると意識の判断力が落ちるので催眠にかかりやすくなるのです)
振り子の揺れや、ロウソクの炎をずっと眺めているとボーッとしてくるのも脳波がゆっくりになっていくからです。
他の方法でもこの状態を作ることができます。それは相手と呼吸のペースが合ったときです。
赤ちゃんを抱っこして呼吸を合わせると眠ってしまいますが、これと同じ仕組みです。
好きな人と一緒にいるときに眠くなるのは、呼吸や話すスピードなど波長が合っているからかもしれません。
その心地良さがゆっくりとした脳波を優位にさせて眠気を誘うのです。
大切にされているという安心感が睡眠の質を高める
眠気というより睡眠の質に関連したことですが、安心感が影響している可能性もあります。
人間は自分のニーズを満たしてくれる愛情深いパートナーと一緒にいるときによく眠れるのです。
中東工科大学のエムレ・セルチュク博士らが698人を対象に行った睡眠の調査があります。
それによると、恋人や配偶者が自分に対してきちんと反応してくれる、サポートしてくれるという認識を持っていることと、睡眠の質には相関があることが分かっています。
大切にされていると感じることで、不安になったり落ち込んだりする可能性が低くなり、ぐっすり眠れるということです。
好きな人といるときに眠くなるのは退屈しているからではなく安心しているからかもしれません。
好きな人の前でドキドキするけどアクビが出るのはなぜか?
安心感を得られるほどに安定した関係ではなく、むしろドキドキするけれどアクビが出るという人もいるでしょう。
実はアクビは眠い時に出るとは限らないのです。
緊張しているときに出ることもあるのです。体をリラックスさせようという防衛的な反応といわれています。
好きな人の前で「少しでも魅力的に見せよう」とか「脈ありかどうか見極めよう」と考えていると緊張して疲れるものです。
そういったときにアクビが出ることもあるのです。
ちなみに疲れた脳に酸素を供給するためにアクビが出ると言われていたこともありますが、現在この説はかなり怪しいとされています。
普通の呼吸でもアクビでも取り込まれる酸素量に大きな差はないことが分かっているのです。
さらに余談ですが、スピリチュアル界隈で運命の人に出会うと眠くなるなどと言われているようですが、科学的根拠は一切ありませんから、そのような言説に騙されないように気を付けましょう。
参考文献:Selcuk, E., Stanton, S. C. E., Slatcher, R. B., & Ong, A. D. (2017). Perceived Partner Responsiveness Predicts Better Sleep Quality Through Lower Anxiety.