自分と気が合う異性とは恋愛に発展しやすいといわれます。
気が合うというのは多くの点で類似性があるということです。
心理学の研究などを調べていても、恋愛感情が芽生える上で重要な要素に類似性が挙げられていることが多いです。
「類似性の法則」などと呼ばれたりもします。
恋人でも友人でも気が合う人と一緒にいると安心するのです。
自分と合っていれば、次の行動の予測がしやすいですし、同じ考えなら自分が肯定された気分になりやすいことが理由ではないかと考えられています。
とはいえ全ての面で気が合う人同士など滅多にいません。
では実際に何が合う人に惹かれるのでしょうか？
それを調べた研究を紹介します。
恋愛において食べ物や音楽の趣味より大事なこと
米国シラキュース大学のスタニスラフ・トレガー博士らが「関係を構築するにあたり何が合っていることが重要か？」というアンケートを行いました。
キャリアや政治、趣味などに関する18項目を提示しそれらが合っていることがどれくらい重要かということを評価してもらったのです。
その結果、友人関係、短期の恋人関係、長期の恋人関係によって若干異なる結果が出ました。
それぞれの関係ごとに求める類似性（合うポイント）は以下の通りです。
友人関係で合っていることが重要な項目
- 政治的立場
- 音楽の好み
- 食べ物の好み
- 映画の好み
- キャリア目標
短期の恋愛関係で合っていることが重要な項目
- 政治的立場
- 食べ物の好み
- 音楽の好み
- キャリア目標
- 映画の好み
長期の恋愛関係で合っていることが重要な項目
- キャリア目標
- 政治的立場
- 旅行の好み
- 食べ物の好み
- 音楽の好み
政治に興味がなくても恋愛では重要
政治的立場が似ていることが重要視されていることに少し驚くかもしれませんが、アメリカ人を対象にしたアンケートなのでこういった結果となっています。
アメリカでは民主党と共和党のどちらを支持しているか若者でも気にする人がけっこういます。映画でそういったシーンを見ることが多いのではないでしょうか？
そしてこれは日本人の恋愛においても意外に重要な事項です。
日本ではあまり意識しないかもしれませんが、日常的にお互いの政治見解が表面化することはあります。
ニュースを見ているときや、何か社会問題についての話題になったときなどはそれぞれの信念が伝わります。
そしてその意見が違っているときに「この人とは気が合わない」と思われる可能性があります。
しかも、政治的立場の違いは考え方の違いではなく、知能の違いと認識してしまうことがノースカロライナ大学の研究で判明しています。
例えば、あなたの好きな人が夫婦別姓に賛成で、あなたが反対の立場だったとします。
このとき好きな人は「あの人は頭が悪いから夫婦別姓に反対なんだ」と認識してしまうということです。
好きな人との政治的な会話は注意しましょう。
気が合うと思ってもらうことも重要
政治的立場以外の項目については日本人でも感覚的に分かるものが多いのではないでしょうか？
重要視する項目にそれほど男女差はありませんでしたが、男性は女性よりもテレビゲームの趣味が似ていることを重視する傾向にありました。
「マッチングアプリで結婚しても後悔しない！離婚率は低く、満足度も高い」でも書きましたが、ネット上の出会いにおいて最も上手くいくのはマッチングアプリやSNSではなく、オンラインゲームで知り合って結婚したカップルというデータもあります。
興奮できる体験を共有できることは恋愛感情の発芽に有用なのです。
好きな人にアピールするときはここで重要視される項目から類似性のあるものを探してそれをアピールすると良いかもしれません。
実際に気が合うだけではなく、合っていると認識されることも好かれるためには必要なのです。
また、好意を持たれているときは相手もこちらに合わせてくることも分かっていますから、脈アリ判断の参考にしてみてください。
＜参考文献＞
・Stanislav Treger and James N. Masciale.(2018) .Domains of Similarity and Attraction in Three Types of Relationships.
・Rachel Hartman, Neil Hester, et al. (2022). People See Political Opponents as More Stupid Than Evil.
