異性を好きになりやすい人がいます。
出会ったばかりの相手に運命を感じてすぐに燃え上がるということを何度も繰り返す人です。
このようなタイプはエモフィリアと呼ばれます。
最近の研究ではこのエモフィリアはそうでない人に比べて危険な相手を好きになりやすいということも分かっています。
エモフィリアとは
エモフィリア(emophilia)という言葉は日本ではあまり馴染みのない言葉ですが一言でいえば「異性を好きになりやすい人」です。
運命を感じやすいというか、新しく異性と出会う度に今までに出会った人とは違うと感じてすぐに燃え上がるタイプです。
そして2人は必ず結ばれる運命にあると強く信じられる特徴も持っています。
エモフィリアは決して珍しいタイプではありません。
恋愛のカウンセリングに来られる人の中にもけっこういますし、皆さんの周囲にも1人か2人はいるのではないでしょうか?
恋愛依存症とエモフィリアの違い
惚れっぽい人のことを恋愛依存症という人もいますがこれは違います。
たしかに恋愛依存症やアダルトチルドレンといった愛着の障害を抱えている女性の中にも男性をすぐに好きになってしまう人はいます。
しかし彼女たちの場合はその理由に不安や肯定感の低さが関与しています。
そのため好きになる相手も浮気や暴力、モラハラといった問題を抱えている人であることが多いです。
しかし恋愛依存症の人はたった1人の相手に深く依存してしまうこともあります。
必ずしも恋愛経験が多いとは限らないのです。
エモフィリアの場合は愛着の問題や肯定感の低さは関係ありません。
エモフィリアも邪悪な性格に惹かれやすい
しかし最近の研究によるとエモフィリアも危険な相手に惹かれやすいということが示唆されています。
テキサス大学とネバダ大学の研究者がオンラインで本人の特性と惚れっぽさについてのアンケートを行ったところ、エモフィリアの特徴を持つ人ほど邪悪な性格を持つ人を好きになりやすいことが分かったのです。
邪悪な性格とはダークトライアドと呼ばれる特性のことです。
具体的には以下の3つを指します。
- サイコパシー:衝動的で反社会的行動を取る、共感性に欠ける
- ナルシシズム:自己愛と承認欲求が強い、他人を利用する
- マキャベリズム:目的のために手段を選ばない、他人を操作して搾取する
3つに共通することは感情的な共感力が低いということです。
別の実験では架空の男性のプロフィールを見せて評価してもらったところ、エモフィリアの女性はダークトライアドを含む全ての男性を高く評価したという結果も出ています。
エモフィリアは愛着障害による惚れっぽさと比べるとそれほど深刻とは考えられていませんが、ダークトライアドの男性と付き合うことによって精神的な負担がかかると自尊心の低下につながることもあります。
恋愛をすると前頭葉の働きが鈍り判断力が落ちるとされますが、付き合う前に立ち止まって考えるクセをつけたほうが良さそうです。
参考文献:Jacqueline Lechuga, Daniel N. Jones. (2021). Emophilia and other predictors of attraction to individuals with Dark Triad traits.