いつも同じようなダメ男を好きになって不幸な恋愛を繰り返す女性がいます。
浮気、暴力、ギャンブル、借金などを抱えたダメ男ばかり好きになるのは反復脅迫に陥っているからです。
頭では幸せになりたいと思っていても潜在意識の中ではダメ男選ぶように行動しているのです。
無意識に不快な体験を繰り返す
なぜいつも同じようなダメ男を好きになって不幸な恋愛パターンを繰り返すのかというと反復脅迫という状態になっているからです。
反復脅迫とは精神科医のジークムント・フロイトが1920年に『快感原則の彼岸(Beyond the Pleasure Principle)』という論文の中で発表した心理的過程です。
受動的に体験した悲惨で苦痛な過去の外傷を人生の様々な場面で能動的繰り返そうとする行動です。簡単に言えば過去にされた嫌なことを自分からやろうとするということです。
繰り返される体験は親に関することが多いです。暴力的な親に育てられた女性が大人になってから暴力的なダメ男を好きになって同じことを繰り返すのも反復脅迫と言えるでしょう。
反復脅迫があらわれる人は見捨てられることに不安を抱いていることが多いです。同時に心のどこかでは「自分は見捨てられる不幸な運命に違いない」と思い込んでいます。
だから捨てられないために重たくなりすぎて相手から鬱陶しいと思われ捨てられると「やっぱり捨てられるのだ」と確信を強めます。そしてどんどん自分は価値のない人間という思いを強めていきます。
やがて価値のない自分を受け入れてくれるのはダメ男だけと思ってしまうこともあります。
自分が不幸になるという確信を強めるため無意識にダメ男を選ぶこともあります。
そしてダメ男に酷いことをされても捨てられるよりはマシとしがみつきやがて共依存のような状態に陥ります。女性の共依存者のパートナーは例外なくダメ男です。
いつもダメ男を好きになって不幸になる人は自分がその状況をつくっていることに気が付きません。
過去の体験と現在の状況の関わりにも気が付きません。
親との関係に問題がなかった場合でも恋愛で深く傷ついた体験が反復脅迫につながりダメ男ばかり好きになってしまうことがあります。
ダメ男ばかり求める目的
人間は「快」と「不快」であれば「快」を選ぶようになっているはずです。
「快」を最大限に求めようとする本能を「快感原則」と呼びます。この原則に従わないのが反復脅迫です。
恋愛においては自分を最大限幸せにしてくれる相手を好きになるはずです。
しかし反復脅迫が起こると自分を不幸にするダメ男を好きになってしまいます。
人がこのような選択をする目的ははっきりとしていません。
フロイトは(有機体を無機体へと還元する)死の本能と結びつけています。(死というのもひとつの快であるという考え方。死にたいという願望ではないので注意)
反復脅迫の目的はハッキリとしていませんが私がカウンセリングを行う中でダメ男ばかり好きになる女性の心理過程はある程度分かってきました。
ダメ男を好きになる心理は人によって異なりますがひとつは子供時代のやり残しを終わらせたいという願望です。
親から大切にされなかった場合でも恋人から大事にしてもらうことで癒されることができたという人はいます。
しかし中にはまともな恋人ではなく親と同じようなダメ男に優しくされなければ癒されないという人もいます。
つまり親を自分に振り向かせることは出来なかったが親と同じようなダメ男を振り向かせることでやり直しを果たそうとしているのです。
また自分は不幸になるという確信を持っている人の場合、それは不可抗力ではなく自分の意思でそうなっているのだと思うことで精神の安定を保とうとする人もいます。
ダメ男を選んで不幸なのは自分で選択したことなのだと思うほうが、まともな人を選んで自分の理想どおりの恋愛を得られないショックよりも小さいのです。
このような思考でダメ男ばかり好きになる女性というのはダメ男からも好かれます。
独特の雰囲気を醸し出すためなのかダメ男特有の嗅覚がそれを嗅ぎ付けるのです。
近づいてくる男がダメ男ばかりという女性も自分がそのような思考に陥っていないか確かめてみる必要があります。
ダメ男ばかり好きになる状態というのは自分の解釈や気づきによって解消されることが多いです。
時間はかかるかもしれませんが自分はどうせ不幸な恋愛しか出来ないという思い込みは捨てなければなりません。