赤い口紅をしている女性を見ると色っぽい印象を持つ男性は少なくありません。
口紅に限らず赤を身につけた女性を見ると性的なイメージと結びつける傾向があるように思われます。
なぜ男性は赤色に魅力を感じるのでしょうか?
赤は発情期のサイン
ゴリラやチンパンジーのメスは発情期になるとお尻が赤くなります。
それを見たオスは「子孫を残せるタイミングだぞ」と判断しメスに近づくのです。
つまり赤は霊長類のオスを呼び起こす色であり人間にもその本能が残っているため赤に反応するのではないかと考えられます。
しかし発情期のメスは他にも身体的な変化は起こりますから果たして本当にオスがお尻の色だけを見て発情しているのかという疑問は残ります。
臭いや鳴き声しぐさなどに反応している可能性もあるのです。この疑問を解決してくれる実験データがあります。
ヒヒのメスから発情に関係する器官を切除し発情できなくなった状態にします。
そしてお尻に赤色の模型を装着させてオスの前に出します。オスがお尻の色以外の部分でメスの発情期を判断しているのだとしたらこのメスには反応しないはずです。
しかしオスのヒヒはこのお尻に赤い模型をつけただけの発情しないメスに反応したのです。
つまりお尻の赤い色を見て判断しているということです。
人間の男性も赤色に反応するのか?という実験結果
フランスの行動科学や心理学の研究者であるニコラ・ゲーガンによる赤色を身につけた女性に関する実験というものがあります。
その中で得られた実験結果をいくつか紹介します。
赤い口紅をつけた女性店員はチップを多くもらえる
女性店員に同じシャツを着させて異なる色の口紅を塗って接客させる。
客が男性だった場合は赤い口紅をつけた女性店員が最も多くのチップをもらった。
しかし客が女性だった場合は何色の口紅をつけていてもチップの額に変化は見られなかった。
赤い口紅をつけた女性はバーで声を掛けられやすい
水曜日と土曜日の夜にフランスのバーに女性を1時間座らせる。
声を掛けてくる男性の人数と声を掛けるまでの時間を計測する。
その結果、赤い口紅を塗った女性に声を掛けてくる男性の数が最も多く声を掛けてくるまでの時間も短かった。
女性がつけた口紅の色は他にピンクとブラウンがある。また口紅をつけない女性についても観察を行っている。
赤いシャツを着た女性はヒッチハイクに成功しやすい
20代前半の女性に異なる色のシャツを着させてヒッチハイクを行わせる。
シャツの色はそれぞれ黒、白、赤、青、緑、黄色である。
ドライバーが男性だった場合は赤いシャツを着た女性が最も車を止めることができた。
ドライバーが女性だった場合にはシャツの色による影響は見られなかった。
女性も発情すると赤を身に着けたくなる?
赤を身につけた女性に男性が惹かれる傾向にあるだけではなく、男性を惹き付けたいと思っている女性も赤を好んで身につけようとするのではないかとい話があります。
学生時代に「女性は欲求不満になると赤い服を着たくなるからナンパするときは赤い服を着た女性を狙え」などという話を聞いたことがあるような気がします。
なぜこのような話が出回ったのかというとある仮説が原因ではないかと思います。
先ほども説明しましたがゴリラやチンパンジーのメスは発情するとお尻を赤くしてオスにアピールします。
実は人間の女性も排卵期になるとほんの少しですが顔が赤くなるのです。特殊なカメラで撮影しないと判断できない変化ですから目では分かりません。
なぜ発情期の変化が目立たないのかというと人類の進化の過程でそうなっていったからではないかという仮説があります。
人間の女性の発情期が外見からすぐに分かるとしたら能力の低い男性からも狙われる可能性があります。
すると優秀な男性との間に子孫を残すことが出来なくなりますから女性にとってはリスクです。
そのため発情期が分からないように進化したのではないかということです。
しかし優秀な男性との間に子孫を残すためには他の霊長類のように発情期を異性にアピールする必要があります。
現在の人間にはその方法がないためその代わりとして赤を身につけたくなるのではないかという考え方があるのです。
裏づけはありませんが赤い口紅をつけるのは唇を性器の代わりに見立てているからではないかという人もいます。
チンパンジーのお尻の代わりが人間の唇なのではないかということです。
赤色はセクシーというイメージを社会が作り上げた
赤い口紅や赤い服が男性に魅力的に映り性的な興奮を呼び起こす理由として社会が作り上げた文化的な原因も考えられます。
ドラマでも映画でもセクシーな女性は赤い口紅をして描かれることが多いです。
最も有名なセックスシンボルと言われるマリリン・モンローも赤い口紅をしている印象です。
そういった文化の影響を受けることで街中で赤い口紅をした女性を見たときに勝手に性的なことを結びつけてしまっているのかもしれません。
とはいえ全ての男性が赤い口紅に魅力を感じるわけではありませんので注意してください。