彼氏や友達から「美人だね」と言われるとき、それが本音なのかお世辞なのか気になると思います。
鏡で見てもけっこう美人かもしれない、けれど毎日見ているから慣れているだけかもしれない…
子供時代から父親や母親に「かわいい、かわいい」と言われながら育てられたけれど家族なら当たり前かも…
などと色々な疑念が生じてしまします。
もしあなたが、自分が美人かどうか知りたければ次の質問に答えてみてください。
「人生で起こることは良いことも悪いことも自分の行いの結果である」という意見をどれくらい支持しますか?
強く支持するというなら、あなたは美人かもしれません。
公正世界仮説とは
この質問によって何が分かるかというと「公正世界仮説」をどれだけ支持するかです。
公正世界仮説とは人間の行動に対してそれに見合った結果が返ってくるという考え方です。思考の偏重の一種とされています。
強烈な自己責任論にも結びつくものであり、犯罪被害者を叩いてしまう人に多くみられる認知バイアスと言われます。
たとえば性的暴行を受けた人に「そんな露出の高い格好をしているから」「夜に危険な場所に出掛けるから」などと言って非難することが該当します。
これによって「自分はそんな行動は取らないから襲われる心配はない」と安心したいともいえます。
またいわゆる勝ち組、負け組という思考にもつながります。
資本主義社会においてお金を稼げるのは自分が努力したからであり、稼げないのは本人が努力していないからという考え方がその典型です。負け組なのは自己責任ということです。
公正世界仮説はあらゆる文化圏の人が持ち得るものです。
美人ほど公正世界仮説を支持する
そしてこの公正世界仮説は美人やイケメンほど支持する傾向があるのです。
ネバダ大学のシェーン・ウェストフォールらはおよそ400人の学生に公正世界仮説を支持するかという調査を行いました。
調査項目の中には「今の地位は自分の力で手に入れたものだと思いますか?」「不幸な境遇にいる人はその人の行動の責任だと思いますか?」といった質問が並んでいました。
これらの質問に対して見た目の良い人ほど同意することが分かったのです。
見た目の評価については自己評価のときと他人から評価したときの両方のシチュエーションで当てはまりました。
なぜ美人とイケメンは世界が公正と思うのか?
なぜ見た目の良い美人とイケメンほど公正世界仮説を支持するのでしょうか?
それは本人たちが現実の世界で良い思いをすることが多いからです。
心理学の世界でも美人は得をするという実験結果は複数あります。
例えば電話ボックスの中に小銭を忘れた場合、次の人が通話を開始していても美人ほどすぐに返して貰えるということが分かっています。
美人でない人の場合は「俺の電話が終わるまで待ってろ」という態度を取られてしまうこともあります。
他にも信用されやすいとかお店でオマケしてもらいやすいとか有利なことがたくさんあります。
実際に今回の実験でもルックスの良い人ほど人生の満足度が高い傾向にありました。
それを自分の行いが良いからであると考えがちなため「世の中は行いに対して相応の結果が返って来る」という信念を持つのです。
もし、あなたが人生は因果応報と考えているなら、それは美人であるがゆえに周囲から大事に扱われたおかげで育んだ価値観かもしれません。
とはいえ周囲を見渡すと実力のある美人ほど「運が良かっただけ」と言ってる気がするのは私だけでしょうか?
建前かもしれませんが…。
参考文献:R Shane Westfall, Murray G Millar, Aileen Lovitt. (2018). The Influence of Physical Attractiveness on Belief in a Just World.