恋愛に振り回される人の特徴!「関係随伴型の自尊心」が強い

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恋人や好きな人のちょっとした言動に心が大きく揺さぶられてしまうことがあります。

何気ない一言で気分が舞い上がったかと思えば、返信が遅いだけで不安になり仕事が手につかなかったりしてしまう…。

このように恋愛に振り回されがちな人は「関係随伴型の自尊心」が強いといえます。

「関係随伴型の自尊心」が強い人は恋愛がうまくいかないとき、「好きな人との関係が失われる」と心配しているようで、潜在意識レベルでは「自分の価値が失われる」ことを恐れているのです。

恋愛の心配をしているようで、それよりも重要な「自分の存在価値」の心配をしているのですから、不安感が大きくなるのは当然です。

恋愛に影響する「関係随伴型の自尊心」

自分には価値があると感じる心のありかたを「自尊心」といいます。

この自尊心は二つに分けることができます。

一つは自分で価値を認めることのできる「自律的な自尊心」です。

これを持つ人は外部の状況に影響されにくいため、仕事や恋愛でうまくいかないことがあっても、感情が安定しています。

もう一つは「条件付きの自尊心」です。

これは何らかの成功や他者からの承認の影響を受けやすいものです。

例えば恋人の態度によって自分への評価が高くなったり、低くなったりしてしまう人は条件付きの自尊心を持っているといえます。

条件付きの自尊心の中でも恋愛のような人間関係に影響されるものを「関係随伴型の自尊心(Relationship Contingent Self Esteem)」といいます。

恋愛に振り回されやすい人はこれが強いのです。

恋愛の出来事にどう影響されるか?約200人を調査

恋愛に関する出来事と、関係随伴型の自尊心の関係についてヒューストン大学のレイモンド・ニー博士らが調査しています。

この調査では約200人の参加者を対象に、関係随伴型の自尊心を測定しました。具体的には以下の傾向について聞き取っています。

  • 恋愛関係がうまくいっていると自分に価値があると感じる
  • 恋人との関係が悪いとき自分はダメな人間だと感じる
  • 恋愛の成功や失敗は自分にとって非常に重要だ
  • 恋人からの愛情を感じると自分の存在が認められているように思う
  • 恋愛関係に問題があると自分の価値に対する評価が大きく揺らぐ

それから参加者は14日間にわたって毎日、恋愛関係に関する出来事を記録しました。

その際、ポジティブな出来事(例:恋人から褒められた、楽しいデートをした)やネガティブな出来事(例:口論になった、無視された)を具体的に記録し、その出来事がどれほど良い・悪いと感じたかを評価しました。

同時に、その日の感情も確認しました。

関係随伴型の自尊心が強い人ほど、恋愛に振り回される

これらのデータを分析したところ、関係随伴型の自尊心が強い人ほど、恋愛の出来事の良し悪しと感情の揺れが強く結びついていることが分かりました。

恋愛で良いことがあれば自尊心が一気に高まり、悪いことがあれば急激に落ち込むという傾向がみられたのです。

分かりやすくいうなら恋愛に振り回されやすいということです。

逆に、関係随伴型の自尊心が弱い人は恋愛の出来事に影響されにくく、精神的に比較的安定していました。

恋愛の出来事が自分の価値の証明になっていることが原因

関係随伴型の自尊心が強い人が恋愛に振り回されてしまうのは、恋愛関係で起こる出来事をそのまま自分の価値と結びつけているからです。

たとえば、恋人からLINEの返信がすぐに来たとき、「自分は大切にされている、やっぱり価値がある」と感じて安心します。

逆に、既読がついたのに返事がないと「嫌われたのではないか」「自分に魅力がないのでは」と強く不安になります。

このように、出来事の小さな変化がそのまま自分の評価に跳ね返ってしまうのです。

こうした反応は、恋愛を「自分の存在価値を確認する場」として見ていることから生じます。

恋人との関係が順調であれば自分に価値を感じられますが、少しでも不安定さを感じると、まるで自分の全てが否定されたように思えてしまうのです。

つまり恋愛の出来事を「関係上の出来事」ではなく「自分の価値の証明」として扱っているめ、日常的なやりとりさえ心に強烈な影響を与えてしまうのです。

「恋人との関係が壊れてしまう」と心配しているようで、潜在意識では「自分の価値が失われる」という恐怖を感じているのです。

恋愛に振り回されないためにできること

恋愛に振り回されないためには、自尊心を恋愛にだけ依存させず、より安定した土台を持つことが重要です。

心理学研究でも、こうした工夫が心の安定や健全な人間関係の構築に役立つとされています。以下に具体的なポイントを挙げます。

自律的な自尊心を育てる

自分の価値を他者の評価に頼るのではなく、自分の努力や選択によって感じられるようにすることが大切です。

たとえば、恋人から褒められて初めて自信を持つのではなく、自分で目標を立てて達成したときに「よくやった」と自分自身を認めることです。

小さな行動でも、自分の意思で選んだ結果を肯定できると、他者に依存しない安定感が育ちます。

恋愛以外の領域での自己効力感を高める

恋愛以外の分野でも「自分にはできる」という実感を持つことが、バランスを保つ鍵になります。

勉強や仕事で課題をやり遂げたり、趣味で少しずつ上達を感じたりすることで、「自分の価値は恋愛だけで決まらない」と実感できます。

日常生活での達成体験が積み重なれば、恋愛の出来事に過剰に影響されにくくなります。

感情を客観的に捉える習慣を持つ

そのときの気分に流されすぎず、自分の感情を冷静に見つめる力も役立ちます。

日記を書いて「今日はこんなことで落ち込んだ」と書き出すだけでも、気持ちを客観視しやすくなります。

また、マインドフルネスのように「今ここにある感覚」に注意を向ける練習も、感情の嵐に巻き込まれにくくする効果があります。

健全な境界線を保つ

恋人と良い関係を築くためには過度に依存せず、お互いの個人としての時間や空間を大切にすることも必要です。

友人や家族との関係を維持したり、一人で楽しめる趣味を持ったりすることで、恋愛以外にも心の支えを持てます。

それによって、恋人の言動だけで気分が大きく揺さぶられることが減っていきます。

恋愛にだけ振り回される人もいる

今回の研究では他の要因をコントロールした後でも、「関係随伴型の自尊心」と「恋愛での振り回されやすさ」に相関があることが分かりました。

つまり、元からの自己肯定感の高さや、見捨てられることへの不安、学業や仕事での成功に依存する度合い等の影響を排除しても、「関係随伴型の自尊心」の影響が残っていたということです。

これは別の見方をすれば、仕事や勉強がうまくいかなくても心の安定を保っていられる人でも、恋愛の場面でだけは些細なことで落ち込んでしまうパターンがあり得るということです。

基本的な自尊心は高いはずなのに恋愛に振り回されるという人は、自分がこのパターンでないか確かめてみましょう。

参考文献:Knee CR, Canevello A, Bush AL, Cook A. Relationship-contingent self-esteem and the ups and downs of romantic relationships. J Pers Soc Psychol. 2008 Sep;95(3):608-27.