相手の暴力や浮気といった行動に我慢できず断腸の思いで振った場合に寂しさが残るのは自然なことです。
しかし恋愛感情が無くなったり他に好きな人が出来たという理由で自分から振ったのにも関わらず寂しくなることもあります。
別れを決めたときには何とも思っていなかったのにそれを伝えた直後から急に心がザワザワすることもあります。
一人になりたいと思っていたのに 一人になると悩みが出てきてしまうのです。
これは未練が残っているということでしょうか?
その可能性もゼロではありませんがほとんどの場合は「錯誤帰属」という現象が起こっているのです。
錯誤帰属とは感情の原因を別のものだと勘違いする脳のエラーです。
恋人を振った直後は様々な感情が去来します。寂しさにつながることもあります。
それを「未練があるから寂しいのだ」と勘違いしているのです。
心の充電ケーブルの差込口がなくなったということ
今まで気軽に連絡したり会ったり出来ていた相手がいなくなると心にポッカリと穴が空いたような感じがします。喪失感が芽生えるのです。
人は社会的動物なので繋がりが少ない人ほどこういった状態に陥りやすくなります。
家族や友人とのつながりが多い人は心の充電ケーブルが複数のコンセントに差し込まれている状態です。
恋人との関係ばかりになっていた人の場合はこの接続先が全て外れた状態ですから寂しく感じるのです。
また自分を好きでいてくれる人の存在は肯定感を高めてくれます。
恋愛感情が冷めた状態であったとしてもこの存在としての機能は果たすことができます。
それを失ったことで寂しく感じるのは人間としては普通のことです。
罪悪感と同情を未練と勘違いする
相手はまだ自分のことを好きだと分かっている状態で振ると罪悪感が芽生えます。
自分のせいで傷つけ辛い思いをさせてしまったという気持ちになります。
「ひどいことをした」と自己嫌悪に陥ることもあるでしょう。
振ったときに相手が泣いていたり悲しそうな表情をすると同情してしまうこともあります。
このような気持ちになるとまだ未練が残っていると勘違いしがちです。
しかし心がザワついたからといってそれが全て振った相手への好意からくるというのは間違いです。
感情の発生と原因を誤って認識している状態です。
罪悪感や同情心が芽生えても気にする必要はありません。
相手も最初は落ち込んでいるかもしませんが時間が経てば落ち着きます。
案外すぐに新しい彼女ができたりすることもあるのです。
会えないと思うことが寂しい
大事MANブラザーズバンドの曲に「それが大事」というものがあります。
その中に「ここにあなたがいないのが淋しいのじゃなくて、ここにあなたがいないと思うことが淋しい」という歌詞があります。
歌詞の本来の意味とは大幅にズレますが自分から振った相手との別れもこれと同じです。
会えなくなることよりも「もう二度と会えない」と思うことが寂しいのです。
この状況になったときに感じる寂しさは恋愛感情のなくなった相手にも芽生えます。
それをあたかも遠距離恋愛で会えない寂しさと同じようなものに感じてしまいますがこれらは異なるものです。
例えるなら子供時代に通っていた遊園地が閉園してしまう感覚に近いかもしれません。
今さら行く気もなかったけれど二度と行けないと思うと寂しいものです。
他の人に気持ちが向くのは嫌
人間とは勝手なもので恋愛感情がなくなって振った相手でも他の人には気持ちを向けて欲しくないと思うことがあります。
まだ見ぬ未来の恋人に嫉妬してしまうこともあります。
これは「あなたが特別な感情を向けるのは私だけのはず」という思い込みからきているのかもしれません。
振った相手が新しい恋人に対して幸せそうな顔を向けるのを見ると「他の人でもよかったんだ」と思います。
そして自分で思っているほどには自分の価値は高くなかったという現実を突きつけられた気になるのです。
特別感が失われるから辛いのです。
このような理由によって別れた後に彼氏が他の人と特別な関係を築いたら嫌だなという感覚になることもあるのです。
1年以上残るのは本気で好きだからか?
寂しい気持ちが何年も残っている場合には本当に好きだった可能性もあります。
しかし多くは元カレ以上に魅力的な相手に出会っていないだけというケースが多いです。
運命の人と思っていても結局は相対評価なのです。
出会った人の中で最も魅力的な人のことを絶対的な人と思うのです。
つまりそれ以上に魅力的な人に出会わなければいつまでも振った相手が1番として心の中に存在します。
思い出は美化され、やがて評価は固定されます。
振った相手のことを思い出す機会が減ったとしても評価は下がらないのです。
そこに嫌な感情がなければそれはただの良い思い出です。
それを未練と勘違いしているといつまで経っても新しい出会いに本気になることができません。
自分から振ったのに寂しい気持ちになることは自然なことですが、それが未練であるケースは稀なのです。