産後にセックスレスになる夫婦は珍しくありません。
その原因として育児の忙しさや生活習慣の変化といったことがよく言われます。
女性の場合はホルモンバランスの変化により性欲が低下しセックスしたいという気持ちが起こりにくくなるとされることもあります。
あまり知られていませんが子供が生まれると夫の男性ホルモンも変化することがあります。それが性欲に影響する可能性もあるのです。
そしてこの男性ホルモンの変化に夫の寝る場所が関係しています。
産後に夫から誘われないことでセックスレスになっている夫婦は夫の寝る場所を変えてみると良いかもしれません。
子供の近くで寝ると性欲が落ちる?
ハッキリと確定しているわけではありませんが、男性の性欲を高めるのはテストステロンという男性ホルモンである可能性が高いです。
つまりこれが減ると男性はセックスしたいと思えなくなるということです。
男性のテストステロンを減少させる要因は複数ありますが、その中の一つが子供の近くで寝ることです。
産後にセックスレスになっている理由は夫が子供の近くで寝ていることで性欲が低下しているからかもしれないのです。
別の部屋で寝ている父親と比べて有意に低い
子供の近くで寝ている父親のテストステロン値が低いことはノートルダム大学のLee Gettlerらの調査でも判明しています。
この調査ではフィリピン人の父親362人に子供と一緒に寝ているか聞き取り、テストステロン値の計測を行いました。
それによると子供と一緒に寝ている父親の夕方のテストステロン値は別の部屋で寝ている父親と比べて有意に低いことが分かりました。
目覚めてから夕方にかけてのレベルの下がり方も大きいのです。
また数年に渡る追跡調査でも一緒に寝ている父親のテストステロンの減少幅は大きいことが分かりました。
子供が生まれてまじめになる夫
他の研究では1日に3時間以上の子育てに関与する父親はテストステロン値が低いことも分かっています。
テストステロンと子育ては相反すると言われていますから、元から少ない人が子育てに関与しやすいと考えることもできます。
しかし今回の調査は子供に関与するという行為そのものが男性ホルモンを減らす可能性を示唆しています。
遊び人だった男性が結婚して子供が生まれたのを機に真面目になったりすることがありますが、このような仕組みなのかもしれません。
赤ちゃんの匂いを嗅ぐと男性の攻撃性は低下する
なぜ子供の近くにいると男性のテストステロンが下がるのか明確な理由は分かりません。
もしかしたら子供の匂いが関係しているのかもしれません。匂いは男性ホルモンに影響を与えます。
ホルモンとは関係ありませんが、イスラエルのワイツマン科学研究所の実験によれば赤ちゃんの頭から出るヘキサデカナールの匂いが男性の攻撃性を減らすということも分かっています。
逆に女性の攻撃性は高まります。この違いは男性では赤ちゃんを攻撃しないようにするためで、女性では赤ちゃんを守るためと考えられます。
夫と子供を離して寝かせる
産後にセックスレスになっているという夫婦は寝る場所を変えると良いかもしれません。
子供と同じ部屋で寝る父親でも、同じ布団か別の布団かによってもテストステロン値は異なるというデータもあります。
同じ布団で寝ている父親のほうがテストステロン値の下がりやすいのです。
参考文献
・Lee T. Gettler, et al. (2012). Does Cosleeping Contribute to Lower Testosterone Levels in Fathers? Evidence from the Philippines.
・Eva Mishor, et al. (2021). Sniffing the human body volatile hexadecanal blocks aggression in men but triggers aggression in women.