結婚式の直前になって「本当にこのまま結婚して良いのかな?」と不安になってしまう人は少なくありません。
行動経済学的な話になりますが、人間は時間的距離のあることは抽象的に考え、時間的距離のないことは具体的に考える性質を持っているのです。
つまりプロポーズ直後は幸せな結婚生活をぼんやりとイメージした状態になりますが、結婚が近づくにつれて結婚式の手続きや新生活の細々したことを考えるようになるのです。
これがマリッジブルーになってしまう原因の一つともいわれています。それが強くなると結婚自体をやめたいとなってしまうのです。
結婚情報誌のアンケートでも結婚をやめたいと思ったことがある女性は半数以上いるという結果が出ています。
結婚式の準備を進めていくなかで婚約者やその家族との間に価値観の違いを感じて一緒にやっていけるか不安になることが多いようです。
そんなときに婚約者がしっかりとフォローしてくれれば良いのですがそうでない場合は余計不安になります。
このようなケースに限らず結婚式前というのは気持ちが揺れやすくなる状況が揃っているといえます。
結婚式の準備で業務遂行能力がバレる
結婚式の準備というのは仕事に似ています。様々なプランを検討し見積をとって各々のスケジュール調整や進行内容を決定しなければなりません。
職場結婚以外の場合は初めて相手の業務遂行能力を見る機会でもあります。
このときに婚約者が役に立たないと「仕事も出来ないのでは?」と無意識に思ってしまうこともあります。
能力の高い男性を選びたいと思うのは女性に備わっている本能です。妊娠中と出産後は自分で獲物を得ることが出来ないからです。
昔であれば狩りが上手な男性がオスとして優秀とされていました。現代は仕事の出来る男性が優秀とされます。
仕事が出来ない男性に自分の将来を預けることに対して不安を感じるのは当然です。
自分では意識していなくても結婚の準備の中で相手の無能さを無意識に感じ取って不安になっているのかもしれません。
自由が失われることへの不安
相手に問題がなくても自分自身が寂しさを感じることもあります。
人間は自分の自由が脅かされると恐怖を感じる性質を持っています。場合によっては反発を覚えることもあります。心理学では心理的リアクタンスと言います。
結婚することで時間や交友関係の自由が奪われてしまうと強く思う場合、結婚自体に反発を感じてしまうことがあるのです。
感情が一度悪い方へ傾くと些細なことも気になり始め全てが嫌になってしまいます。
こんな嫌な思いをするくらいなら結婚をやめた方が良いという気持ちが出て来ると全ての出来事がそこにつながってしまいます。
不安を紙に書き出す
結婚をやめたいと思ったらまずは自分の不安を冷静に分析することが大切です。
何に対して不安を感じているのか紙に書き出してみてください。
そしてそれは本当に起こり得ることなのか検討してください。
結婚したら本当に相手は冷たくなるのか?自分の自由は失われるのか?
不安な要因は様々ですが中には勝手に自分で決め付けてしまっていることもあると思います。書き出すことで自分の勘違いに気づくきっかけになります。
不安なことを書き出したら今度は結婚することによって得られる楽しいことも書き出してみましょう。
好きな人と毎日一緒にゴハンが食べられる、辛いときに慰めてくれる人がいつもいる……などなど。
楽しいことや幸せなことを書き出すことで気持ちが明るくなります。紙に書き出して冷静に分析するということは心理療法でも用いられる手法で効果は証明されています。
既婚の友達に相談する
既に結婚している友達に相談するのも効果的です。結婚前は多くの人が不安を抱えるものですので同じ経験をしているかもしれません。
あなたの気持ちを理解して良いアドバイスをしてくれると思います。誰かに話すだけでも人間の気持ちは軽くなるものなのです。
このときに相談する相手はちゃんと選びましょう。口の軽い人や他人の不幸を喜ぶタイプの人には絶対に相談してはいけません。
噂に尾ヒレをつけて広められて婚約者の耳に入ってしまうと余計にこじれてしまいます。
婚約者に直接相談する場合は相手や家族の人格を否定するような言動は控えましょう。婚約者が「ウチの親がうるさくてごめんね」と言っても「本当よ!」などと言ってはいけません。
そんなことを言うと相手の反発を買ってしまいますし、婚約者を通して義両親にも伝わります。
あくまでも自分の心が不安を抱えているということを伝えるべきです。
結婚をやめたいという気持ちになるのは特別なことではありませんので、前向きに解決方法を考えましょう。
ウソが発覚したときは要注意
ただし結婚をやめたいという理由が気持ち以外の部分にあるときは注意です。
例えば結婚直前に借金、宗教、国籍、病歴、年齢、離婚歴、職業のウソが発覚した場合などです。
マッチングアプリを介して出会ったケースでは結婚直前にこれらのウソを白状されることも珍しくありません。当方でもそのような相談が持ち込まれることは多いです。
このようなケースはそのまま結婚しても上手くいかないケースのほうが多いです。
義理の両親との同居についても事前にあやふやな態度を取られた場合は何年か後に同居を強制されると思って間違いないでしょう。
つまり結婚をやめたいと思う理由が相手の不誠実さにある場合は要注意ということです。一つのウソが出て来るとその後にさらに他のウソも発覚します。
慰謝料とキャンセル料
誰でも環境が大きく変わるときに不安を感じるのは当然です。それを一緒に乗り越えていけると思ったからこそ結婚を決めたのではないでしょうか?
大切なことはあなたの不安な気持ちに婚約者が寄り添ってくれるかどうかです。結婚前に気になっていることは結婚後にはもっと気になります。
気がかりな部分は早めに解消しておきましょう。
どうしても結婚をやめたい気持ちが変わらないのであれば無理をする必要はないと思います。
余談ですが結婚前に「本当にこの人でいいのか?」と迷った人の離婚率は高くなることも分かっています。
ただし結婚をやめる場合はタイミングによって慰謝料等を請求されることもありますので確認はしておきましょう。
式場が決まっている場合はそのキャンセル料も負担する必要があります。
あなたの気持ちが揺れている本当の理由はどこにあるのか冷静に判断してください。