結婚する気がない彼氏は愛着の問題を抱えている

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彼氏と数年付き合い、お互いの相性もかなり良いと分かってくると結婚を意識するものです。

なのに彼氏からプロポーズの気配がないどころか、結婚する気さえなさそうだと不安になります。

結婚の障害となるようなこともないのになぜでしょう?

もしかすると彼氏は愛着の問題を抱えているのかもしれません。

なぜ男性は結婚する気がないのか?

結婚願望を持っている男性の割合は年々減っています。

『令和5年版厚生労働白書』によると、1997年~2015年までは「いずれ結婚するつもり」という男性は85%前後で推移していました。

しかし、2021年ではこの割合が81.4%まで下がりました。

さらに、「一生結婚するつもりはない」という男性は2002年に5.4%だったのが、年々上がり続け、2021年には17.3%まで上昇しています。

彼らはなぜ結婚する気がないのでしょうか?

これに関して『平成25年版厚生労働白書』では独身にとどまっている理由についてのアンケートを行っています。

そこには結婚できない理由と結婚しない理由がありました。

結婚できない理由

  1. まだ必要性を感じない
  2. 自由さや気楽さを失いたくない
  3. 趣味や娯楽を楽しみたい
  4. 仕事(学業)にうちこみたい
  5. まだ若過ぎる

結婚しない理由

  1. 適当な相手にめぐり会わない
  2. 結婚資金が足りない
  3. 異性とうまくつきあえない
  4. 住居のめどがたたない
  5. 親や周囲が同意しない

彼氏に結婚する気がないのは愛着スタイルの問題

上記の「結婚できない理由」と「結婚しない理由」を見て、自分の彼氏には当てはまらないとか、解決できそうな問題と思う女性もいるかもしれません。

その場合、もしかすると愛着スタイルの問題があるかもしれません。

愛着スタイルとは人間関係を築くうえで、その基礎となる型のようなものです。

親子関係を他の人との人間関係に応用する

人間が生まれてから最初に出会う他人は親です。つまり親との関わり方によって人間関係の型をつくります。

そしてそこでつくられた型をその後の人間関係にも応用します。

親から愛されて育てば、人間は愛し合うべき存在と認識して他者と関われます。このようなタイプは安定型の愛着スタイルを持っているといえます。

反対に、親から虐待されたり、放置されたり、過剰なコントロールをされると、人間は避けるべき存在、裏切る存在と認識します。このようなタイプは不安定な愛着スタイルを持っているといえます。

恋愛に与える悪影響

不安定な愛着スタイルには「不安型」と「回避型」という2つの種類があります。

このどちらもが、恋愛に悪影響を及ぼすことがあります。

不安型は見捨てられることを恐れて過剰に束縛したり、常に愛情表現を求めたりします。

回避型は相手にコントロールされることを恐れて自分のプライベートを隠したり、本音を言わなかったり、急に音信不通にしたりします。

恋愛で不安型の特徴を見せるのは女性が多く、回避型の特徴を見せるのは男性が多いといわれていますが、私が恋愛カウンセリングをしている中でもこの感覚はあります。

結婚への心配や恐怖

不安定な愛着スタイルを持っていると結婚したくないという気持ちが強くなることもあります。

不安型の人は自分なんかが幸せになっても良いのか?幸せなことの後には必ず悪いことが起こると心配になるのです。

回避型は結婚によってパートナーに縛り付けられることへの恐怖を感じます。また離婚したときに強烈な寂しさを感じるくらいなら、最初から結婚しないと考えることもあります。

回避型も心の底では見捨てられることを恐れているのです。

また自分が育ったのと同じような家庭を作ってしまうのではないか恐れて結婚を遠ざけることもあります。実際に子供時代に虐待を受けた人は結婚願望が低いという研究もあります。

そのまま結婚するとどうなるか?

不安定な愛着スタイルを持ったまま結婚した場合もいくつかの問題が生じます。

まず一つとしては、結婚生活の満足度が低いままになることが挙げられます。複数の研究から不安型の愛着スタイルを持つ人は結婚生活から幸福感を得にくいことが分かっています。

他にも、新婚時からセックスの頻度が低いことや、夫婦間の親密な関係が築きにくいことなどがあります。

彼氏を結婚する気にさせるためにどうすれば良いか?

あなたの彼氏が結婚する気のない理由が不安定な愛着スタイルにある可能性もあるでしょう。

特に男性の場合は回避の傾向によって結婚を恐れているケースは少なくありません。

このような場合、どうすれば良いでしょうか?

それは関係の中でポジティブな体験を多くさせることです。

結婚生活3週間の日記を分析

チャンカヤ大学のデニズ・バイラクタロール博士らが、300組以上の新婚夫婦や付き合ったばかりのカップルに3週間日記をつけさせるという実験を行いました。

この日記には日常の中でどれだけポジティブな体験をしたかを記録させました。

日記の内容を分析したところ、回避型の人はパートナーとの関係の中でポジティブな感情が沸くような体験を多くすると、回避傾向が低下することが分かりました。

幸福感、満足感、穏やかさ、そして生き生きとした感覚を持つ頻度が高くなることで、回避行動が減り、パートナーに頼る気持ちが芽生えやすくなるのです。

距離がリセットされる

とはいえ、これは回避の程度が軽いケースでしか有効でないかもしれません。

回避傾向が強い人の場合、一度殻に閉じこもってしまうと、そこから戻るのにとても時間が掛かりますし、せっかく縮まった距離もまたリセットされてしまいます。

私は不安型も回避型もどちらのカウンセリングもしていますが、改善が難しいのは圧倒的に回避型です。継続して通っていても途中で来なくなってしまう人のほうが多いです。

なぜ結婚する気のない彼氏に執着するのか?

彼氏に結婚する気がなく、その理由が不安定な愛着スタイルにある場合、恋人として付き合いながらあなたの努力で改善させることはほぼ不可能だと思います。

彼氏との結婚を諦めて、他に行くというのも選択の一つです。

結婚する気もなく、向き合う気もない彼氏に執着してしまう場合、あなた自身も不安定な愛着スタイルを持っている可能性もあります。

参考文献Deniz Bayraktaroglu, Gol Gunaydin, et al. (2023). Gol GunaydinThe Role of Positive Relationship Events in Romantic Attachment Avoidance