ブスほど自分のことを可愛いとか美人と勘違いしているような振る舞いをすることがあります。
異性のちょっとした仕草を好意と受け止め、自分はモテると思い込んでいたりします。
自分に尽くすように求めることもあります。
実はこれは当然のことなのです。
ブスほど勘違いしているということが実験でも証明されています。
ただし、それは「私は超美人」と勘違いしているということではありません。
美人とブスでは外見の自己評価は違うのか?という実験
人間が自分の外見的魅力をどう考えているか調べた実験があります。
インスブルック大学のトビアス・グライトマイヤー博士が行ったものです。
外見に対する主観的な評価と客観的な評価を比べる
この実験では大学キャンパスの近くを歩いている人を捕まえて、性格検査に協力するよう求めました。
その中には自分の見た目についてどう思うかという評価項目も含まれていました。
そしてそのテストに回答している最中に、すぐそばに立っている2人の男性スタッフがその人の外見的な魅力を評価しました。
これによって、外見に対する主観的な評価と客観的な評価を比べることが可能となります。
ブスほど勘違いしていた
実験の結果どうなったかというと、ブスほど主観的な評価と客観的な評価の差が大きいということが分かりました。
自己評価は高いのに、他者評価は低かったのです。
一方で美人な人は、反対の結果となりました。自己評価より他者評価のほうが高かったのです。
つまりブスほど勘違いしていて、美人ほど謙虚という結果になったのです。
なぜブスほど勘違いしてしまうのか?
なぜブスほど勘違いしてしまうのでしょうか?
それはブスほど自分よりさらに低レベルな相手と比較する心理傾向を持っているからです。
つまり普段から自分よりもブスな人を見たときに、「私のほうが美人だわ」と下方比較をしているので、幻想的な自己認識を持っているということです。
それに対し、美人はより上のレベルの相手と比較する傾向がありますから、自分はそれほど大したことないと思いやすいのです。
美人に「美人ですね」と言ったとき「全然そんなことないです」と答えるのは嫌味でも謙遜でもなく、本心ということです。
ブスが勘違いする本当の理由
下方比較ばかりすること以外にもブスが勘違いする理由はあります。というよりこれが一番の理由です。
ルックスに限らず、無能な人ほど自己評価が高く、有能な人ほど自己評価が低いといわれることがあります。
「ダニング・クルーガー効果」と呼ばれたりします。
例えば学生にテストを受けさせたとき、「あなたは全体の何位くらいの成績だと思いますか?」と聞くと下位の人間ほど、自分はもっと上位のはず考えがちなのです。
とはいえ、これは数字のマジックでもあります。
そもそも有能か無能かに限らず、人間は皆が「自分は平均よりは少し上くらいにはいるはず」という認知バイアスを持っているのです。
例えば、100人でテストを受けたら、1位の人も、50位の人も、100位の人も「30位くらいかな」と思いやすいということです。
この場合、50位の人は誤差が20ですが、100位の人は誤差が70となります。
つまり成績が低くなるほどに誤差は大きくなるので、勘違いの幅も大きくなるということです。
このテストで100位だった人が次回50位になっても、やはり「30位くらいかな」と考えるのです。
要するにダニング・クルーガー効果は、無能ほど有能と勘違いしているという効果ではなく、誰もが平均より上と思うバイアスは結果が良いときも悪いときも変わらないという効果なのです。
美人もブスも「平均より上くらい」と思っている
ブスほど勘違いしているように見える理由が分かったと思います。
「さすがに顔については皆が平均より上などとは考えないのでは?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
今回の実験では魅力について「レベル1=全く魅力的ではない」から「レベル9=非常に魅力的である」までの9段階で評価しています。
そして美人もブスも多くの人がレベル6前後を選んでいるのです。
客観評価がレベル1や2の人間が自分をレベル6と考えるわけないと思うかもしれませんが、自分の顔は毎日見慣れているのですから、不思議なことではありません。
「平均レベルの女性が得るべき権利はある」という思考が態度に出る
ブスほど勘違いしているといっても、「私はめちゃくちゃ美人なのよ」と思っているわけではないのです。
平均よりは上と考えているだけなのです。
一方でこれは「平均レベルの女性が得るべき権利はある」と考えているということでもあります。
なので男性に対し、親切にしろ、楽しませろ、割り勘はあり得ないという態度を自然に取れるのです。
親切にされたとき「自分に好意があるのでは?」と思うこともあります。
美人がそのような態度でも「まあ仕方ないか」と思われるかもしれませんが、ブスが同じことをすると大いに勘違いしているように見えてしまうということです。
参考文献:Tobias Greitemeyer. (2020). Unattractive people are unaware of their (un)attractiveness.