恋人と別れた後や告白して振られた直後の落ち込んでいるときには人を好きになりやすいと言われています。
失恋するということは他人から自分を否定されるわけですから自尊心が傷つき自己評価も下がります。
人は自己評価が下がっているときは相対的に他人の評価が上がりますので好意を抱きやすくなるのです。
これを心理学では「好意の自尊理論」と呼びます。
落ち込んでいるときに慰めてもらえば「こんな私に優しくしてくれるなんて…」と思ってしまいがちなのです。
自己評価と他人への評価の関係
アメリカの心理学者エレイン・ウォルスターは次のような実験を行いました。
被験者の女子学生が実験室に行くと担当者はまだ来ていません。
代わりに男子学生がいます。この男子学生は仕掛人です。
彼は世間話をした後に女子学生をデートに誘います。そしてまた連絡すると言って部屋を出て行きます。
しばらくすると担当者が来て女子学生の性格検査を行いその場で結果を知らせます。
このとき被験者の自己評価を下げさせるためにわざと悪い結果を知らせます。
その後で他人に対する印象を聞き取ります。その対象には最初にいた男子学生も含まれます。
その結果、性格検査によって自己評価が下げられた女子学生は男子学生に好意を持ちやすいということが分かりました。
恋愛でも同じことがいえる
振られた直後に慰めてくれた人を好きになってしまうというのもまさにこの実験と同じことが起こっているのです。
あなたの好きな人が他の人を好きな場合はまず恋愛相談の相手になると良いと言えます。
相手が振られてしまった場合にあなたのことを好きになってくれる可能性が高まるからです。
好きな人に恋人がいる場合も良き相談役でいれば別れた後に付き合えるチャンスが巡ってくるでしょう。
失恋直後に近づいてくる男性には注意
反対の立場で考えるなら失恋直後に近づいてくる男性には要注意と言えます。
自己評価が下がっているときに優しくされると普段なら相手にしないようなタイプでも好きになってしまうことがあるからです。
この効果を狙って近づいてくる人もいるので気をつけましょう。
「好意の自尊理論」は皆に当てはまるわけではない
「好意の自尊理論」は振られた人全てに当てはまるわけではありません。
振られたからと言って自己評価が下がらない人もいますし、失恋のショックが大きすぎて恋愛をする気が無くなってしまう人もいます。
それといくら自己評価が下がっているとはいえ全く恋愛対象に入っていない人を好きになるということはありません。
ここで紹介したウォルスターの実験でも仕掛人はそれなりにカッコイイ男性だったのです。
参考文献:Walster, E. (1965). The effect of self-esteem on romantic liking. Journal of Experimental Social Psychology, 1(2), 184–197.