「恋愛心理学」という用語は存在しない!論文を検索すればすぐ分かる

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多くの人が勘違いしていますが、日本にも外国にも「恋愛心理学」という用語は存在しません。

それにも関わらずカウンセラーや自称心理学のプロが恋愛心理学という言葉を使っています。中にはブログのタイトルやYouTube動画のチャンネル名に使っている人もいます。

恋愛心理学という用語を使っている時点でその人はきちんと心理学を勉強していない素人ということがバレます。自称専門家を見分ける一つの基準となるので便利ですが…。

論文検索サイトで「恋愛心理学」と検索すると…

恋愛心理学が存在しないことを簡単に調べる方法は論文サイトを検索することです。

日本語の論文検索サイトとしてはCiniiJ-STAGEが有名ですが、どちらで検索してもタイトルに「恋愛心理学」という用語が入った論文は0件です。

検索範囲を広げ、本文中のフリーワード検索で「恋愛心理学」と入れても10数件しかヒットしません。

この場合も本文中に「恋愛心理学」という用語が出ているのではなく「恋愛」と「心理学」という言葉が近くにあるためヒットしているだけです。

ちなみに「社会心理学」がタイトルに入った論文は数百件がヒットしますし、フリーワードなら数万件がヒットします。なぜなら社会心理学は存在するものだからです。

なぜ恋愛心理学という用語が広まったのか?

なぜ恋愛心理学などという存在しない用語が広まったのでしょうか?

面白い実験だけを紹介した本

心理学には社会心理学や認知心理学といったものがあります。この2つは実在のものです。

これらの心理学では一般の人でも面白いと感じる実験が行われることがあります。たとえば何度も会っている人には好感を持ちやすいことを証明した実験などがあります。

そして数十年前に一部の人たちがこういった面白い実験だけを紹介した本を出版し始めました。

その中には複数の心理学の分野から恋愛に使えそうな効果だけを集めて紹介したものもあります。そしてその本のタイトルに『恋愛心理学』とつけてしまったのです。

しかもそういった本を書いた人の中には大学教授などもいました。著者本人は恋愛心理学などという言葉を使いたくはなかったのでしょうが、本を売りたい出版社や編集者の意向が大きく働いたのでしょう。もしくは著者の商魂がたくましかったのでしょう。

一般向けの本を読んだだけでカウンセラーを名乗り始める人が続出

それらの本を見た一般の人が「恋愛心理学というものが存在するのだ」と勘違いしてしまったのです。この勘違いをする人は今も多くいます。

この勘違いをした人の中には一般向けのそういった本を何冊か読んだだけで専門家やカウンセラーを名乗る人まで出てきました。

ちなみに恋愛心理学と名のつく本の内容は数十年前に書かれたものを焼き直しているだけなので、現在ではその効果自体が新たな実験で否定されているものも多いですから気をつけてください。

さきほど軽く説明した何度も会うと好きになるという効果は初対面の印象が悪いと逆効果ということが分かっています。

素人が恋愛心理学という言葉をつかう

ここまで説明した通り、恋愛心理学として紹介されているものは本当は社会心理学や認知心理学などのジャンルに属するものなのです。

それを知らない自称専門家やカウンセラーが恋愛心理学という言葉を使ってしまっているのです。

複数のジャンルから一部のものだけを集めて新たにジャンルを作るのはおかしなことです。

法律でいえば民法731条(婚姻適齢)と戸籍法74条(婚姻届)を抜き出して「『結婚法』という法律が存在する」と言っているようなものです。

弁護士が「結婚法という法律について説明する」と言ったらおかしいです。「恋愛心理学について説明する」と言うのはこれくらいおかしなことなのです。

〇〇学を勝手につくる人間に要注意

恋愛心理学に限ったことではありませんが「〇〇学」という言葉を勝手に生み出す人には注意が必要です。「学」とはそんなに軽々しいものではありません。

「〇〇学」と新しい分野を創設するには何度も検証を重ね、既存のものとは明確に違う新たな発見であると確定できなければなりません。

既にある別のもの同士を組み合わせただけで創設して良いものではないのです。そんなことをするのはアカデミズムに対する冒涜です。

心理学の世界で新たなジャンルを生み出そうとしている一流の研究者は多くいます。しかし何十年も研究をしている彼らでさえたった一つの新ジャンルも生み出すことが出来ずにいるのです。

心理学界に多大な貢献をしたマーティン・セリグマン博士がアメリカ心理学会の会長に就任し「ポジティブ心理学」を創設しようとしたときでさえ批判があったのです。そしていまだにポジティブ心理学は新たな心理学の分野とは呼べないという研究者もいるのです。

論文はおろか専門書さえ読まず、誰でも読める大衆向けの本しか読んだことのないような自称専門家が新たなジャンルを生み出すことなど烏滸がましいにも程があります。

恋愛「の」心理学

恋愛心理学という言葉を使うことに対して違和感や羞恥心を感じない人というのは、きちんと心理学を学んでいない人です。

そしてそのような人たちが紹介する心理学は大衆向けに書かれた本にある何十年も前から変わらない、今ではその効果さえ否定されているようなものです。

このような一般向けに発信される心理学は侮蔑を込めて「通俗心理学(ポップ心理学)」と呼ばれます。当然、心理学と呼ぶには程遠いものです。

現在、ブログやYouTubeで紹介される心理学は恋愛に関するものに限らず9割以上が通俗心理学です。自称専門家に騙されないように気をつけてください。

ちなみにこのサイトのカテゴリの一つが「恋愛心理学」となっているのもここまで説明した理由によるものです。

本来であれば「恋愛に利用できる心理学」にしたかったのですが長すぎるのでこうなりました。「恋愛の心理学」でさえけっこうな違和感を持っているのですが初見の人の分かりやすさを重視しました。

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