彼氏がいつも「一口ちょうだい」と言うのが許せないのは私の心が狭いからでしょうか…と相談に来る女性から言われることがあります。
彼氏のことは好きだけれど「一口ちょうだい」と言われる度に卑しい人間だと思ってしまうという人もいます。
男性に限ったことではありませんが、ファミレスのようないつでも行けるお店の一般的なメニューでも常に「一口ちょうだい」という人もいます。
言われるのが嫌なので彼氏がメニューを決めた後に同じものを頼もうとしたら、彼氏が変えてきたという人もいました。
このように一口貰う(又は交換する)ことに異常な執着を見せる人間は特殊な心理を持っているのです。
育ちが悪いから卑しいのか?
他人の食べ物を欲しがるのは決して行儀の良いことではありません。
それを毎回のようにするのは育ちの影響も考えられるでしょう。少なくとも育ちが良いとはいえません。
とはいえ、育ちの悪さだけが原因であれば、「『一口ちょうだい』と言われることが嫌だ」と伝えれば改善するはずです。
しかし、嫌と言われても「色んな味を試せたほうが良いでしょ」と頑なに改めようとしない人もいます。
「一口だけと言ってるのにくれないなんてケチ」と謎の逆ギレをする人もいます。
このようなタイプは特殊な性格特性を持っているのです。
「一口ちょうだい」と言う人が持つ2つの心理
一口貰う、もしくは交換することに異常なほど執着する人は以下の2つの特性が共存していると考えられます。
- 些細なことでも損得にこだわる
- 常に低次の欲求が高次の欲求に勝つ
それぞれについて詳しく説明しましょう。
些細なことでも損得にこだわる
ハンバーグを100gよりも、ハンバーグ90gとパスタ10gのほうが得と感じる人が多いと思います。
非常に些細なことではありますが、「一口ちょうだい」と言う人はこの些細な差でも気にします。
お願いすれば2種類を味わうことができたのに、それをしなかった場合にとても損をした気分になるのです。
誰かがお菓子を食べているときでも、「ちょうだい」と言えば貰えるシチュエーションで要求しないのは損という思考が強く働きます。
一口ちょうだい魔は些細なことでも損得にこだわる貧乏性ともいえる心理を持っているのです。
常に低次の欲求が高次の欲求に勝つ
些細なことでも損得にこだわる特性を持っていたとしても、それを行動に移さない人のほうが多いです。
それを「一口ちょうだい」と行動に出してしまう人というのは、常に低次の欲求が高次の欲求に勝ってしまうからです。
食欲や性欲は動物の命に関わる本能的な欲求です。低次の欲求です。
恥をかきたくない、というのは命には関わらない高次の欲求です。
戦時中のような非常事態であれば低次の欲求が高次の欲求に勝つ場面は多くなるでしょう。恥も外聞を捨てて食料を得ることに必死になります。
しかし、現代の日本のような飽食状態の国では、卑しい人間と思われるくらいなら多少の空腹は我慢しようと考える人のほうが多いです。
そうならない人というのは、「卑しい人間と思われたくない」という高次の欲求と「食事で損をしたくない」という低次の欲求が戦ったときに、常に後者が勝ってしまうのです。
これは恥の感覚が欠落していることなどが原因といえます。
クレクレママはマキャベリスト
病気ではありませんが特定の感覚が欠落している人というのは存在します。
「別れた方が良い彼氏の特徴」で説明したダークトライアドなどがそうです。
例えば何でも欲しがる「クレクレママ」などはダークトライアドの一種であるマキャベリストの可能性があります。(もちろん幼少期の家庭環境が貧しかったなど他の原因もあります)
自分の利益のために他人を利用することを何とも思わないのです。そこに羞恥心を持つこともありません。
マキャベリストのように名称がついていなくとも、特定の状況において何らかの感覚が欠落している人はいます。
食事中という状況では恥の感覚が発生しない人もいるのです。
いつでも「一口ちょうだい」という人はこのタイプでしょう。
だから低次の欲求が高次の欲求に勝つのです。
「食」に異常なほど執着するのはサイコパスだから
何度言っても「一口ちょうだい」を止めないのであれば、脳の構造がそうなっていると考えて諦めるしかないかもしれません。
今後の付き合いに関してはあなたがレストランなどで恥ずかしいと感じてしまうかどうかで判断すれば良いと思います。
「一口ちょうだい」と言う人は他のテーブルに運ばれた料理までじーっと見てしまったりと、他の部分でもマナー違反をしがちですから、そのような行為にあなたが耐え続けられるかということです。
余談ですが、心理学者のジェフリー・ハンコックが犯罪者の言葉遣いについて分析した研究があります。
それによるとサイコパス傾向のある犯罪者ほど、食事やお金といった低次の欲求に関する言葉をよくつかうそうです。
低次の欲求に異常な執着を見せ、そこに羞恥心を感じない人はサイコパスなのかもしれません。
参考文献:Jeffrey T. Hancock, et al. (2011). Hungry like the wolf: A word-pattern analysis of the language of psychopaths.