彼氏のケチが直らないのは金銭感覚の問題ではないかもしれません。
記憶が変化している可能性があるのです。
1,000円しか払っていないのに2,000円払ったことになった気になっているということです。
そのため自分がケチな振る舞いをしていることを認識していないのです。
利己的なケチとは?
ケチにもいくつか種類がありますが今回説明するのは利己的なケチです。
一緒にいる人間を最もイライラさせるタイプです。
これは倹約とは異なります。倹約家は自分のものでも無駄と思うものにはお金を掛けません。
しかし利己的なケチは自分の欲しいものにはお金をつかいますし、恋人にも遠慮なくねだります。
あなたが彼氏に高いプレゼントをしたのに彼氏は安いものしかプレゼントしてくれなかった場合などが当てはまります。
彼氏のほうがたくさん飲み食いしたのに同額で割り勘にされたというケースも同様です。
自分のことをケチだと認識していない
ケチな彼氏はあなたにお金を掛ける価値がないと思っているのでしょうか?
他の女性に対してはたくさんお金をつかっているのであればその可能性もあるでしょう。
しかし誰に対してもケチなのであれば別の可能性があります。
それは彼氏が自分のことをケチだと認識していないということです。
それどころか気前が良いとさえ思っているかもしれません。
なぜなら自分がお金を払ったときの記憶が都合よく改竄されてしまうからです。
「もっと高いものをプレゼントしたはずだ」と思い始める
ケチな彼氏がどのように記憶を変化させてしまうのかについて具体的に説明します。
例えばクリスマスプレゼントの交換を考えてみましょう。
あなたが3万円のものをプレゼントし、彼氏からは1万円のプレゼントを貰ったとします。
この時点では彼女にとって不公平なやり取りであるという認識を持っているかもしれません。
しかし時間が経つと自分は1万円よりも高いものをあげたと記憶が改竄される可能性があるのです。
そしてお互いにフェアなやり取りだったと認識します。
そのためそれ以降もケチな行動を取り続けるのです。
イエール大学の実験
自分勝手で利己的なケチが都合よく記憶を変化させてしまうということはイエール大学のライアンW.カールソンらの実験でも分かっています。
手順:自分がいくら分け与えたかを思い出させる
実験では「誰かとお金を分けるときにどのような割合が公平であるか?」という質問をします。
そして実際に見知らぬ相手と好きな割合で分けるように指示されます。(このとき自分が公平と思う割合にする必要はありません)
その後で自分がいくらずつ分割したかを思い出すように言われます。
正確に思い出すことができればインセンティブを得ることができます。
結果:ケチは「多くあげたはずだ」と記憶違いをした
実験の結果、自分で公平と思うよりも少ない金額を相手に与えた被験者は記憶違いをしていました。
実際に与えた金額よりもっと多くを与えたはずだと思っていたのです。
つまりケチな人は自分の行動を気前の良いものだったと誤って記憶していたということです。
自分はケチな人間と思いたくないので記憶を変える
なぜケチな人は記憶の改竄が起こるのでしょうか?
それは自分の公平でない行いを合理化する心理が働くからです。
誰でも自分がズルい人間だとは思いたくないので記憶を変えてしまうのです。
それにより心の安定がはかられます。
実験でも自分の意思ではなく指示によって少ない金額を渡したときには記憶の改竄は起こりませんでした。
自分の決定ではないため責任を感じずに済んだからです。
ケチな彼氏に潜むモラハラのリスク
金銭感覚が合わないとお互いにイライラが募りやすく結婚してもうまくいかないことが多いです。
またケチな彼氏の場合には他のリスクも潜んでいることがあります。
結婚後にモラハラが表面化し経済的DVをはじめたり愛情そのものまでケチるという事態も考えられます。
他の人がいる前でもケチっぷりを発揮してあなたまで恥をかくということもあります。
人は誰かのためにお金を使うことで喜びを得ることができそれが健康につながるのでケチは早死するリスクが高いという研究もあります。
ケチは性格なので直りにくいと言われますが本人が全く認識していない場合には変われる余地があるかもしれません。
彼氏のお金のつかい方に関してあなたの思いを伝えることで改善できるのかしっかりと見極めましょう。
参考文献:Ryan W. Carlson, et al. (2020). Motivated misremembering of selfish decisions.