恋愛中に好きな人の気持ちが分からないのは人間として自然なことです。
人間は自分の考えを証明する情報ばかり重視しますし、恋をすると脳の判断力が鈍るからです。
自分が思いたいように見るから分からない
好きな人の気持ちがわからない理由の一つとして自分の思い込みがあります。
人間は自分で思っていることを証明てくれる情報にばかり注目し反証となる情報は無視する傾向を持っています。これを認知心理学で「確証バイアス」と言います。
分かりやすい例でいえば「日本国内を走っている車の色で最も多いのは銀色です」と信用できる人に言われたとします。
すると道路を歩く時に銀色の車ばかりが目についてしまい「あーやっぱり銀色の車が多いのだ」と思ってしまうのです。(実際には白が多いのですが無視してしまうのです)
確証バイアスは恋愛中にも起こっています。
仮にあなたが好きな人も自分のことを好きなのだろうという強い思い込みを持っていたとします。
すると自分のことを好きだと思わせるような言動にばかり注目してしまうのです。
例えば目が合った時に笑ってくれたとか、相手から「おはよう」と挨拶をしてくれたとかいう出来事ばかり注目します。
とにかく自分にとって有利となるような情報にばかり目が行ってしまうのです。
そして「相手は自分のことが好きなのだ」という確信を持ってデートに誘ってみたり「付き合ってください」と告白をしてみたりします。
しかし振られてしまうのです。すると好きな人の考えていることが全く分からないということになってしまいます。
しかし冷静な目を持って判断すれば分かることですが実は他の人にも同じような態度をとっていたのです。
それが好きな人にとっては普通の態度だったのです。目が合ったら誰にでも笑顔を返しますし朝は自分から「おはよう」と挨拶をするのです。
反対に自分の事を嫌いに違いないと思い込んでいる人はそれを裏付けてくれるような情報ばかり集めてしまいます。
相手からの返信が遅かったりちょっと会話が噛み合わなかっただけで「きっと自分のことが嫌いなのだろう」と決めつけてしまうのです。
相手から脈ありな態度を取られた時に混乱してしまうのです。そしておかしな態度を取ってしまいます。
すると相手が「拒絶された」と勘違いしてしまい上手く行くはずだった恋愛がうまくいかなくなってしまうこともあります。
自分が確証バイアスの罠に陥っていないか確かめる簡単な方法があります。
身近にいる人を誰でも良いので一人決めてその人が自分のことを好きに違いないと思ってください。
そうするとその人の行動が全て自分への好意のように思えてきます。
これをやることによって好きな人に対しても同じような目で見ていなかったか客観的に判断することができます。
恋愛中は判断力が落ちるから分からない
恋愛をすると脳に変化が生じます。
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのセミール・ザキ教授の実験によると恋愛中の人は判断力が落ちるということが分かっています。
恋愛中の人に恋人の写真を見せてそのときの脳の反応をfMRI(磁気共鳴機能画像法)によって観察すると判断力を司る前頭葉の機能が低下するのです。
またドーパミンの分泌が増えるため高揚感を覚えやすくなります。反対にセロトニンは減少しますから不安も覚えやすくなります。
恋愛中は浮かれやすさと嫉妬深さが混在するのはこのためです。
判断力が鈍っている上にちょっとしたことでも重く受け止めるため好きな人の気持ちが分からなくなるのです。
恋愛している本人よりも周りで見ている友達のほうが状況を的確に捉えているケースは少なくありません。
好きな人の気持ちを考えるときは「たとえ好きでなかったとしてもこう考えるだろうか?」と一歩引いた視点で見ることも大切です。
それと見落としがちなことですが恋愛中というのはおかしな態度を取ってしまうことが多々あります。
特に好きな人の前では「よく見せたい」という気持ちもあれば「好意がバレたくない」という気持ちもあります。
これらの気持ちがぶつかり合うためおかしな態度を取ってしまうのです。
自分の好きな人の前での行動を振り返ってみると分かりやすいかもしれません。自分でもワケの分からない行動を取ってしまうことはあります。
つまりあなたの好きな人もあなたのことを好きだとしたら意味不明な行動を取ってしまうことはよくあるということです。
偶然会った瞬間に逃げるようにどこかへ行ってしまったり、何度も連絡のやり取りをしていたと思ったら急に素っ気無くなったりします。
判断力が鈍っているときにこのような態度を取られると好きな人の気持ちが全く分からないという状態になってしまうのです。
この状態になってしまったときは客観的なアドバイスをしてくれる友達に相談するか、起こったことを全て紙に書き出してみると何かを掴めるかもしれません。